仕事がつまらないのは能力の問題じゃなくて視点の問題だった

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フリーランスでビジネス系の記事を書いている杉野拓真です。
前職はSIerでシステムエンジニアをやっていました。

7年間のSE時代、正直に言うと「仕事がつまらない」と感じた時期が何度もあります。
要件定義、設計、テスト、リリース。
同じサイクルの繰り返し。

当時は「自分にはこの仕事が向いていないんだろう」と思っていました。
能力が足りないから面白さを感じられないんだ、と。

でも今振り返ると、それは違いました。
仕事がつまらなかったのは、能力の問題じゃなくて「視点」の問題だったんです。

今回は、その気づきに至った経緯と、仕事の見え方がガラッと変わるきっかけについて書いてみます。
同じように「仕事がつまらない」と感じている人に、何かヒントになれば嬉しいです。

「能力がないから仕事がつまらない」は思い込み

「仕事がつまらない」と感じると、多くの人はまず自分の能力を疑います。
「もっとスキルがあれば、面白い仕事を任されるはず」
「デキる人は毎日充実しているんだろう」
そう考えてしまう気持ちは、痛いほど分かります。

でも実態はどうか。
ギャラップ社の調査によると、日本の従業員エンゲージメント率はわずか7%です。
世界平均が23%なので、圧倒的に低い。
「仕事に熱意を持てない」のは、ごく一部の人の問題ではなくて、日本で働く人の大多数が抱えている感覚です。

パーソル総合研究所の「働く10,000人の就業・成長定点調査」でも、こんなデータが出ています。

項目割合
仕事での成長を重視する人70.5%
実際に成長を実感している人50.2%
仕事内容に満足している人53.4%
仕事を通じて「幸せ」を感じている人約3割

成長したい気持ちはあるのに、実感が追いつかない。
仕事に満足できているのは半分ちょっと。
この数字を見ると、「つまらない」と感じているのは自分だけじゃないんだと分かります。

能力が高い人でも、仕事がつまらないと感じることは普通にあります。
むしろ「できるようになったからこそ、ルーティンに飽きる」というケースのほうが多いくらいです。

新入社員の頃はすべてが新鮮で、覚えることだらけで退屈する暇がなかった。
でも3年、5年と経つうちに仕事を覚えてしまい、刺激がなくなる。
自分がまさにそのパターンでした。
「つまらない」と感じるのは、ある意味でその仕事をちゃんとこなせるようになった証拠でもあるんです。

視点が変わった瞬間の話

自分の場合、転機になったのはSE4年目くらいの出来事でした。

当時、同じプロジェクトに配属されたベテランの先輩がいました。
どんな案件でも楽しそうに仕事をしている人で、障害対応でチーム全体がピリピリしている場面でも、「お、レアボスだな」と笑っていた。

最初は冗談だと思いました。
でもこの人は本気でした。
面倒なタスクには「このダンジョン攻略したら経験値デカいぞ」と自分で意味づけをしていた。
つまり、同じ仕事を「こなすべき作業」じゃなくて「攻略対象」として見ていたわけです。

半信半疑で真似してみたら、想像以上に効きました。

退屈だったテスト工程を「バグ発見クエスト」と捉えてみたら、不思議と集中力が上がった。
「今日は何件見つけられるか」と自分の中で記録をつけ始めたら、ちょっとしたゲーム感覚になった。
しかも、この「ゲーム感覚」で取り組んだ週のほうが、バグの検出件数が実際に増えていました。
楽しんで取り組むと、注意力の質が変わるんだと思います。

仕事の中身は何も変わっていません。
変わったのは、自分の見方だけ。
でもそれだけで、朝の「行きたくない」が「まあ、やってみるか」くらいには変わりました。
日曜の夜に感じていた憂鬱さも、少しだけ軽くなった。

仕事をゲームに見立てるという考え方

こうした「仕事をゲームのように捉える」アプローチは、ゲーミフィケーションと呼ばれる分野で以前から研究されています。
ゲームが人を夢中にさせる仕組み(目標設定、フィードバック、達成感のサイクル)を仕事に応用するという考え方で、2010年代から注目され始めました。

厚生労働省の「令和元年版 労働経済の分析(労働経済白書)」でもワーク・エンゲイジメントが取り上げられていますが、仕事に熱意を持てるかどうかは、個人の能力よりも仕事の捉え方や職場環境に左右される部分が大きいことが示されています。

最近読んだ本で、この考え方を体系的にまとめたものがありました。
コンサルタントの田中耕比古さんが書いた本で、『仕事を面白くするギミック50』の書籍紹介ページを見て興味を持ったのですが、まさに「仕事をRPGとして攻略する」発想がベースになっています。

田中さんはアクセンチュアやIBMを経て起業された方で、20年以上にわたって「仕事をゲームのように楽しんできた」と書かれていました。
タスクを「ミッション」と捉え、スキル習得を「新しい魔法の獲得」、嫌な仕事を「高経験値クエスト」として見る。
こういった工夫を「ギミック」と呼んで50個紹介しているのですが、派手なテクニックというよりは、日常の仕事に対する視点の切り替え方の引き出しを増やしてくれる内容でした。

自分がSE時代にやっていたことと根っこは同じで、「ああ、名前がつくんだ」と腑に落ちた感覚があります。

一つ印象に残ったのは、「嫌なお客さんへの訪問も『これをクリアしたら3レベル上がる』と思えば頑張れる」という一節。
正直、そこまで前向きになれるかは人による気もしますが、「嫌な仕事ほど経験値が高い」という見方自体は、自分の経験とも重なるところがありました。

視点を切り替える具体的なやり方

「視点を変えろ」と言われても抽象的すぎる、という声はもっともです。
自分が実際にやってみて効果があったやり方を、いくつか紹介します。

タスクに自分なりの「意味」をつける

与えられた仕事をそのまま受け取ると、どうしても「やらされ感」が出ます。
そこで、「この仕事を通じて自分は何を得るか」を考えてみる。

たとえば退屈な会議の議事録作成でも、「要約力を鍛えるトレーニング」と捉え直すだけで取り組み方が変わります。
大事なのは、嘘でもいいから自分が納得できる意味を見つけること。
本気で信じなくてもいい。
「まあ、そういうことにしておこう」くらいで十分です。

見方を変えると、同じ仕事でもこれだけ印象が違います。

そのままの見方視点を変えた見方
面倒な議事録作成要約力のトレーニング
先方への謝罪対応信頼回復スキルの実戦練習
単調なデータ入力正確さと速さのタイムアタック
部署間の調整業務パーティ編成と交渉クエスト
上司への報告資料作成プレゼン構成力の経験値稼ぎ

やっていることは何も変わっていません。
ただ「名前を付け替えた」だけ。
馬鹿馬鹿しいと思うかもしれませんが、やってみると意外と気分が変わります。

小さな記録をつける

ゲームにハマる理由の一つは、経験値やレベルが数字で見えることです。
仕事にも同じ仕掛けを持ち込めます。

  • 今日処理したタスクの件数
  • 先週より早く終わった作業があったか
  • 初めて挑戦したことの数
  • 誰かに「助かった」と言われた回数

こういった小さな実績を手帳やメモアプリに書き留めるだけで、「今日も何もなかった」という感覚が薄れます。
派手な成果じゃなくていい。
「昨日の自分より何か1つ前に進んだ」と思えれば、それだけで仕事への見方は少しずつ変わっていきます。

自分はこれを3か月ほど続けたあたりで、「あれ、意外とやってるな」と思えるようになりました。
逆に記録をサボると、また「何もしてない感」が戻ってくる。
可視化の威力を実感した瞬間です。

周囲を「パーティメンバー」として見直す

一人で仕事をしていると、どうしても視野が狭くなります。
RPGでも、ソロプレイよりパーティを組んだほうが戦略の幅が広がるのと同じです。

「仲良くしましょう」という精神論ではなくて、「この人はどんなスキルを持っているか」「自分の弱点を補ってくれるのは誰か」と考える習慣をつけるということです。

SE時代、自分はコーディングは得意だったけれど、ドキュメントの体裁を整える作業が苦手でした。
一方で、チームの中にはドキュメント作りが丁寧で早い人がいた。
その人に「レビューしてほしい」とお願いするようになってから、自分の時間が空いて、得意な設計作業に集中できるようになりました。

チームメンバーの強みを把握して、適材適所で頼れるようになると、仕事の進め方そのものが変わります。

面倒だった調整業務が「パーティ編成」の楽しさに変わったりする。
フリーランスになった今でも、この考え方はかなり使っています。
案件ごとに「今回は誰と組むと面白くなるか」を考えるのが、仕事を受ける楽しみの一つになっています。

視点を変えても「うまくいかない」ときもある

ここまで読んで、「そんな簡単にいくのか」と思った方もいるかもしれません。
正直に言うと、視点の転換がすぐに効くかどうかは人や状況によって差があります。

自分の場合も、すべてのタスクをゲーム化できたわけではありませんでした。
たとえば、理不尽な要求を繰り返すクライアントとの折衝は、どう視点を変えても辛かった。
「経験値が高い」と言い聞かせてみても、精神的な消耗が勝つ場面はあります。

そういうときに無理やりポジティブに捉えようとすると、かえってストレスが増えます。
「楽しまなきゃ」というプレッシャーが新たな負担になる。
「視点を変える」というのは「何でもポジティブに受け止めろ」という意味ではありません。
あくまで、自分がコントロールできる範囲で、仕事の受け止め方を調整するということです。

どうしても合わない仕事、どうしても合わない環境はあります。
そこを見極める力も、同じくらい大切です。

転職を考える前に、一つだけ試してほしいこと

マイナビの転職動向調査(2026年版)によると、転職率は7.6%で過去最高水準です。
転職理由の第2位は「仕事内容に不満があった」で21.0%。
さらに転職者の52.6%が「キャリアに停滞感を感じていた」と回答しています。

仕事がつまらないと感じたとき、転職が最善の選択肢であるケースはもちろんあります。
環境を変えるべきタイミングは確実に存在する。

ただ、「仕事への視点」が変わらないままだと、新しい職場でも同じ壁にぶつかる可能性があります。
最初の新鮮さが薄れたら、また「つまらない」と感じるかもしれない。

だからこそ、転職を決める前に一つだけ試してほしいことがあります。
今やっている仕事に、何でもいいから自分なりの「ギミック」を一つ仕込んでみてください。
タスクに別の名前をつける、記録をつける、周囲の強みを分析してみる。
何でもいい。

それで変わればラッキーです。
変わらなかったとしても、「視点の問題ではなく、環境そのものを変える必要がある」と確信を持って次のステップに進めます。
どちらに転んでも、試した時間は無駄にはなりません。

ちなみに自分の場合は、視点を変えたことでSE時代の仕事が面白くなり、そこから「書くこと」にも視点を広げた結果、今のフリーランスライターという道にたどり着きました。
仕事の見方を変えると、キャリアの選択肢まで変わることがあります。

まとめ

仕事がつまらないと感じるのは、能力が低いからではありません。
同じ仕事でも、見方を変えるだけで面白さが生まれることがあります。

自分はSE時代、仕事をゲームのように攻略する視点を持ち込んだだけで、日々の充実感がかなり変わりました。
タスクに自分なりの意味をつけたり、小さな実績を記録したり、周囲を「パーティメンバー」として捉え直したり。
地味な工夫ですが、積み重なると馬鹿にできません。
派手な方法じゃなくていい。
大事なのは「同じ仕事でも、見方一つで全然違う体験になる」と知っておくことです。

「今の仕事、つまらないな」と思っているなら、能力を疑う前に、まず視点を変えてみてください。
小さな工夫一つで、見える景色が変わるかもしれません。
少なくとも、自分はそうでした。

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